平成元年当時の中古住宅事情
先日、ふと、30年前の中古住宅の流通事情がどうだったか知りたくなり、平成元年当時の土地建物売買契約書を調べてみました。
中古住宅の築年数について着目したところ、驚いたことに、令和元年現在の中古住宅の築年数が30年以上のものが多いのに対し、平成元年では、築7年~13年のものに集中していました。どうして30年前は築浅物件が出回っていたのでしょうか。
その理由の一つとして、住宅ローンの仕組みが考えられます。あの当時、「ゆとり返済」(ステップ償還)という支払方法がありました。「ゆとり返済」は、当初5年間の支払額は低く、6年目以降から高くなるものでした。その結果、6年目以降の支払いが困難になり、住宅を売却するケースがよくありました。確かにその頃の中古住宅の売主様というと、内密で売りたいというニーズが多かったように記憶しています。築浅で、しかも住宅ローンの残債もまだ多く残っていました。それとは対照的に、現在の中古住宅は、築古でリフォームが必要、残債はないという物件が多いです。因みに、この「ゆとり返済」は平成12年に廃止となり、今はありません。
今回は、平成元年と令和元年とで中古住宅を築年数で比較しましたが、価格を比べてみるとまた新たな発見があるかもしれません。
投稿日:2020/04/24 投稿者:中村 芳樹