もし自分が借りている貸家が競売になったら・・・前編
1.ある日突然、自分が借りている貸家が競売に!?
貸家を借りてから2年、ここでの生活にもすっかり馴染んだ今日この頃。買い物も便利で子供の学校も近い。
何よりこの貸家が使いやすくて気に入っている。ずっとここで住み続けたいな・・・。
と、思っていた矢先、裁判所からいきなり通知が来た!
開封してみると、そこにはこの貸家が競売になることが決まり、その準備として建物評価のために来週室内を見せてほしいと書いてあった・・・。
2.貸家が競売になると入居者の立場は弱い
賃借人は抵当権者及び買受人に対抗できない!
民法では、抵当権に遅れる賃貸借は、その期間の長短にかかわらず、抵当権者及び競売における買受人に対抗できないとあります。要するに、入居者は賃借権を主張できません。
明け渡しを要求される
買受人が決定すると賃借人は、その日から6ヶ月間の猶予期間の間に明け渡しをしなければなりません。また、その猶予期間中、賃借人は買受人に対し賃料相当額を支払う必要があります。
敷金が返って来ない
賃借人は、買受人に対し敷金返還請求ができません。旧賃貸人に対して敷金返還請求することはできますが、競売にかかるくらいですから、敷金の返還は期待できないでしょう。
なぜ、賃借人の立場は弱いのか
かつては、建物の短期賃貸借(3年間)は、抵当権者と買受人に対抗でき、敷金の返還請求権も認められていました。しかし、競売を妨害する目的で短期賃貸借を悪用する手法が横行したため、入札者が安心して入札に参加できない事態になりました。その問題を解消するため、短期賃貸借制度は廃止になりました。
・・・後編につづく
投稿日:2019/09/22 投稿者:中村 芳樹